家族写真のこと、3年前のこと。
なんだかモヤモヤしている時は、過去に撮った写真を見る。
その方から撮影のご依頼があったのはちょうど三年前のことでした。ふいにいつもなんでもないときにそのときに撮影した写真を見返していたりします。写真を見なくても思い出せるような綺麗な方。
予約があって、返信をしたメールのやりとりを見たら、始めに返信した日付がちょうどこれを書いている7月22日でした。偶然だろうけど。
7月中に打ち合わせをして、8月7日に撮影が終わって、その年の11月に旦那さんから連絡がありました。ご葬儀で写真を使いたいのだけど、どこにあるかわからないから、もう一度データがほしい、と。その方は末期がんの方でした。
ご依頼の撮影内容は、旦那さん、息子さん3人で家族写真を撮りたいのと、その方のお父さんのお誕生日のお祝いも兼ねて、と。
本当にきれいな人で、話したら僕の高校の後輩にあたる人で、日高総合公園でケーキを用意して、ろうそくなんかに火をつけて、外だからろうそくの火はなかなかつかなかったり、ケーキが倒れちゃうとかハプニングがあったり、サッカー好きの息子さんの写真を撮ったり、たくさんたくさん撮影した後、国道407号沿いの南京亭に行って、みんなでラーメンや餃子を食べて、僕も一緒に食べて、その後、高麗川駅に行って、お母さんと2人きりの写真を撮ったんだ。
すごく楽しそうだったなぁ。
高麗川駅で写真を撮った後、お母さん、お父さんとはそこで別れて、4人揃って僕の車で川越氷川神社へ行きました。
その頃の僕の車は10年以上乗ったトヨタのイプサムで、匂いに敏感な高校生の息子さんが鼻をつまんで乗っていたんだっけ。その人はもう、杖を使わないと歩くのもしんどそうだったのだけど、すごく楽しそうで、鯛のおみくじ釣りをして、その後喜多院、菓子屋横丁まで足を伸ばしてしまった。
喜多院がその日最後の方の撮影地だったのだけど、そこで撮った、悲しいのだけど何かをこらえてそれででも笑っているようなその人の一枚が忘れられない。
その後、しばらく他の撮影なんかもあって、どうしているだろうかとたまに思い出すくらいになったくらいが11月のその訃報を聞いたときだったので、しばらくショックで気持ちの整理ができませんでした。
その後、なかなかその公園にも足が向かなかったんだけど、何故か今日は行ってみよう。って気持ちになった。
撮影前、正直に言うと、どんな撮影をすればよいのかとても悩みました。だから僕ができる限りのことをしようと。すっごくベタな内容しか思いつかなかったのだけど、ケーキとか。僕で良いのだろうかとか、お体の状態とかいろいろ考えて相談して撮影に臨みました。今、今日、その喜多院で撮った一枚の写真を見返してみると、やっぱり撮って良かったという気持ちになりました。
ここ最近、家族写真から遠ざかっていました。家族写真ってなんだろう、っていう疑問みたいなのが心の中にあって、向き合えなくて、逃げていて、ずっと曇り空のような気持ちだったから。
ちょっと向き合ってみよう。と思う。
ありがとう、少し落ち着きました。